IT運用を10年以上もやっていれば、それはそれは大きな事故を起こす事もあります。
システムトラブルだけではありません。お客様との関係性が起因するクレーム等もあります。
事故自慢は置いといて、事故を振り返りやすくして、事故を激減させる7原則があります。
先に言っておきますが、この7原則は私が作ったものではなく、
サービス業界にて既にある幾つかのルールをIT運用に適用したものです。
対応における3原則は「愛されるサービス」という本に殆ど書いてありますので、気になる方は一読をお勧めします。とても素晴らしい本です。
また行動における4原則はディズニーランドのホスピタリティ系の資料を読むと出てくるので直ぐ探せると思います。
対応3原則には株式会社HUGE代表である新川義弘さんの考え方です。
新川さんはover30世代ならば覚えているかもしれませんが、
ブッシュ大統領・小泉首相(当時)が居酒屋会談をしましたよね。
あの給仕をされた方で、サービスの神様と呼ばれている方です。
実践すれば確実に効果が解りますので、是非愛されるサービスを読んでみて下さい。
お気付きかと思いますが、このブログの題名もこの本から取ったものです。
行動4原則にはオリエンタルランドのSCSEという行動規範を採用しました。
オリエンタルランドは言わずと知れた東京ディズニーランドの運営会社です。
最近、ブラックだのなんだのと言われていますが、安全への考え方はトップレベルです。
実際にアルバイトをしていたので、SCSEについてはよく理解していました。
上記対応3原則と行動4原則を合わせる事で、愛される運用・監視を実現し、
振り返りを効果的に行い、事故を減らします。
前置きはこの位にして、今回は対応3原則から書いていきます。
-----------
対応3原則はお客様との対応をする為のマインドを説いている。
以前、突き抜けるサービスで顧客と対等に接してプロセスを共有するという事を
書いた。対応3原則についてはそれを実現する術に近い。
対応3原則は
・リコグニション(顧客認知)
・アンティシペイション(事前察知)
・オペレーション(運営)
の3点から成り立っている。順を追って確認していく。
リコグニション(顧客認知)とは、読んで字の如く顧客の事を知るという事だ。
レストランで例えてみよう。チェーン店では一見接客(いちげんせっきゃく)が多い。
それは誰にも分け隔てなく同様のサービスを提供する為の術だ。
あなたは可でもなく不可でもないサービス。期待通りのサービスを提供される。
特に不満足は無い。そういうサービスを提供していると解っているからだ。
しかし、次に来店した時にこういう反応がかえってきたらどうだろうか。
「○○さま、先日はご来店ありがとうございました。」
きっと、「えっ!」と驚くだろう。この対応は期待していなかったからだ。
自分のことを覚えてくれていた事で特別扱いされたような気持ちになる。
あなたは一気にこの店員のファンになるだろう。そしてお店に通うようになる。
俗に言う常連という人達はこの気持ちに近い筈だ。
「○○さま、ブロッコリーは抜きにいたしますか?」
なんて聞かれたらどうだろう。前回、確かにブロッコリーを残した!
自分の嫌いな食べ物を理解してくれているのか!と嬉しくなるかもしれない。
ただ、チェーン店でここまでされたらストーカーではないだろうか。と勘ぐってしまい、
若干引いてしまうか、怖いから行かないようにしようとも思うかもしれないが・・・。
予約を入れてドレスコードがあって給仕が居るようなレストランであれば、
これぐらいの接客を見せてくれる可能性は十分にある。
顧客の名前は勿論、好き嫌い、記念日も覚えている。
出来る給仕は他愛も無い会話からその人の趣味嗜好まで把握して覚えている。
野球好きであれば贔屓のチームの試合の話をしたり。
これは動向も把握していなければならない。
例えばイチローがマーリンズに移籍したという情報も知っていなければ話せない。
話題を切り出す為には、相手のことを理解しているだけではなく、
それを生かす為に常に努力する事が重要だ。
この会話が成立した時にあなたは店員の事がもっと好きになるだろう。
これがリコグニションだ。
この考え方はIT運用でも同じ事が言える。
相手のコンテンツを徹底的に理解する。そして好きになる事。
例えばゲームの案件であれば、必ずリリースされたゲームはインストールして実施する。
実際にどのタイミングで課金されるのか、また負荷が掛かっていくのか。
そういう部分を知らなければ提案も出来ない。
Webサイトであればtwitter等、バズりやすいSNSをウォッチしておいたり、
常にアンテナを張ってニュースに敏感になるようにしなければならない。
相手を理解するということは”相手を理解しよう”と努力する事から始まるのだから。
当たり前のようだが、実施できているかを当てはめて考えてみると良いだろう。
IT運用エンジニアはコードを書いたり、ミドルウェアをチューニングしたり、
対顧客に関する意識がどうしても欠如しがちである。
アラートメールに書いてある事は解るが、アラートメールの先にあるものが見えづらい。
運用は"何も起きないのが当たり前"の世界の為、常に顧客が見てるものを一緒に意識すると、
プロセスを共有出来、リコグニションも上手く浸透していく筈だ。
次にアンティシペイション。
アンティシペイション(事前察知)とは、顧客がやろうとする事を事前に察知する事。
居酒屋で例えるととても解りやすい。
~あなたは今、お酒を飲んでいる。お酒をおかわりしたい。~
あなたはどのタイミングで店員を呼ぶか。
1.グラスが空いてから呼ぶ
2.グラスが空になる前にある程度残しておいて呼ぶ
基本的には1の人が多いのではないだろうか。
1の人で、店員が持ってくるのが遅い店では2に変更する。という人が多い筈。
飲み屋によく行くという方は、こういう店は無かっただろうか
・グラスが空きそうになると、店員が「次の御飲物お持ちいたしますか?」と聞いてくる。
空になってから聞かれるのではなく、丁度飲み干した位のタイミングで持ってくる。
きっとあなたはこう思うだろう。
(この店は、接客が行き届いているなぁ。)
接客が行き届いている店では気持ちが良い。
食事に集中が出来たり、話に集中出来たり、自分がやりたい事をする為の条件が整う。
そしてあなたは(また、次も来よう。)ときっと思うだろう。リピーターの出来上がり。
アンティシペイションはこのように顧客が事前に行う事を予測して行動する事。
これはITでも言える。究極的に自動化してしまったのがオートスケールと考えれば解りやすい。
最初はお伺い、御用聞きから始まる。
「最近、負荷が高くなってきましたね。何かイベントとかやっていますか?」
ここでイベントの情報を得たとしよう。きっとあなたは何らかの策を講じるだろう。
この策をあなたは隠れてコソコソとやってはいけない。
あくまで内容をシェアする。そしてプロセスを共有する必要がある。
そうすると相手は次のイベントの時には先に相談してくれるようになるだろう。
事前察知する為には、顧客の売り上げや業界規模も把握する必要がある。
売り上げによってはシステムのシュリンクを提案したりすることも必要だろう。
古いミドルウェアを使用していて、業界の標準から遅れているようであれば、
ミドルウェアの変更やバージョンアップの提案もしていく必要がある。
気付いた方も居ると思うが、提案する材料を集めるのはリコグニションが必要だ。
顧客認知をして事前察知力を高めていく。この流れが基本である。
リコグニションとアンティシペイションを発揮してオペレーションに繋げていく。
このオペレーション(運営)がとても重要。ここからが特に重要な話となる。
運営とは飲食店で言えば、お店を回す力を指す。
滞りなく料理や飲み物が提供出来、ここちよい空間を提供出来る事。
これを実現するには顧客を知る事と、事前に察知する力が必要だ。
ただし注意しておく事がある。"あくまでユーザとは対等"という前提を無くさない事だ。
飲食店で酔って騒いでいる、俗に言う悪いお酒になっているお客が居たとする。
周りのお客にも絡んでいるようで、みんな苦笑い。
その酔って騒いでる客は常連客だ。金払いもとてもいい。
あなたが店員であったらどういう対応を取るか?
きっとそのお客に「もう少し静かに御飲み頂けますか?」などと言うのではないか。
しかしながら、そのお客が注意を聞かずに騒いでいたらどうするか。
「これ以上騒がれますと他のお客様にも迷惑になりますので、御引き取り頂きます。」
などと申し伝えるのではないかと思うが、問題はここから先が重要。
あなたは本気でその常連を帰れといって店の外に連れて出せるだろうか?
一見さんお断りという京都の料亭等は、コンセプトを知らないと満足いくサービスが
提供出来なかったり、コンセプトにマッチングしない方が同じ空間に居るだけで、
馴染みの方へのホスピタリティに影響し、お互い悪影響が出てしまう恐れがある。
だから一見さんお断りというのがあるんだという話を聞いたことがある。
決して高飛車で言っている訳ではない。高級店はドレスコードが厳しかったり、
敷居が高いのにはそれなりの理由がある。
顧客をコントロールする力もオペレーションの1つという事だ。
ユーザが解約をおどし文句に理不尽な事を言ってくる事があると思う。
また、解約ではないにしろ、何らかの圧力をかけてきたりというのはよくある話だと思う。
ここでもう1度質問を考えてみて欲しい。
あなたは本気でその常連を帰れといって店の外に連れて出せるだろうか?
この時点で対等であるというバランスが崩れているので2択で考える。
バランスが崩れた時点でユーザではなくなっているのだから、
対等という意識をもってもらえるように教育しなおすか、それか解約してもらうかの2択になる。
ただし勘違いしないでほしい。このケースの殆どがお客が悪いという事例ではないのだ。
導入の際に問題点があったり、日々の運用で上下関係を作ってしまったり。
色々な理由があっておきてしまった事であり、オペレーションの問題。
要するにユーザコントロールが出来ていない、もしくは出来ない環境下だった。という事だ。
前述の飲み過ぎた客、更に常連というキーワードであれば、
どれくらいお酒が強いかや、何か深酒してしまうような出来事が無いかという顧客認知と、
飲み過ぎて悪い酒になっていないかというような事前察知があれば防げたのではないか。
あなたは常連客をユーザのままで居て頂くことが出来るという話になる。
しかしながら多くの場合は、バランスが崩れた後も顧客だからという理由で、
問題を曖昧にしたり、目をつぶってしまったりしているのではないだろうか。
きっと振り返る事もせずに、現場は疲弊し、ユーザもシュリンクしていき解約になっていくだろう。
そういう経験をしたこともあるのではないだろうか。
曖昧にし続ける場合は自社オペレーションから切り離す等の覚悟が必要だ。
オペレーションで重要なのはこの振り返る事。
例えば導入の際にお金が良いから納得性が低いまま強引に取ってきた。等が無かっただろうか。
日々の運用で3営業日かかる仕事をasapという4文字で緊急扱いにして対応してなかっただろうか。
これを指摘したらきっとこういうかもしれない。
「お客様が望んでいるから仕方ないじゃないか。」と。
お客様が望む事が幸せではない。愛される運用とは程遠く、満足度も上がらない。
それは、お客様が望む事=当然、期待している事なのだから一見接客と変わらないのである。
要するに顧客認知、事前察知、そしてユーザとの対話や説明を放棄しているだけなのだ。
何かクレームやユーザとの関係性に関する事故が発生した際には、
是非この対応3原則を念頭に置いて運営について振り返ってみては如何だろうか。
私自身、まだまだ出来ていない身ながらもこの対応3原則で顧客対応を振り返ると、
必ず改善点が見つかる。伸びしろは常にあるという前提で、どうか試してみて欲しい。
----------------
ちょっと今回は1話で長く書きすぎたのであとがきを入れます。
この対応3原則の重要性をご理解頂けたでしょうか。
続きの行動4原則は、具体的な行動についての考え方なので解りやすいと思いますが、
対応3原則は例え話も飲食店が多いので解り辛かったらすみません。
振り返りを効果的に行うには全員が同じマインドを共有しておく必要があります。
私がチームビルディングする際には常に対応3原則を意識するようにし、
メンバーには必ず覚えてもらっています。その為、日常のたとえをする事が多くなってます。
(もっとも出来ているとは口が裂けても言えないような状況ですが・・・orz)
私は業務中でも顧客が提供しているゲームは普通にやって良いと言っています。
むしろ奨励しているという方が正しいかもしれません。
また、顧客が良く使うツールは触るように指示をしています。
これは顧客認知の為の努力と考えている為です。
業務中にゲームをするなんてけしからん!と思う方も勿論いますし、メンバーにもいました。
そのゲームをエンドユーザがやる事によって我々の仕事があるにも関わらず・・・です。
なかなか意識の共有は難しいですね。
まだまだ納得出来るような運用は実現出来ていませんが、
この対応3原則を使って、すこしづつ運用における環境が変わっていけばいいな。
と、お客様からのお叱りのメールを見ながら思う次第です。
長文を御読み頂きありがとうございました。
2015年2月19日木曜日
2015年1月20日火曜日
突き抜けるサービスという考え方
ITというよりも、サービスに対する私的感覚。
何かサービスを考えるときは、常にリコーの田村氏の講演内容を思い浮かべるようにしている。
http://www.icpe.or.jp/icpe/icpe_1/3400/
今回の内容は殆ど上記に記載されています。なにせ、私のバイブルのような講演なので。
新しいサービスを生み出すときに指標にするのが、ナンバーワン企業の法則。
オペレーショナルエクセレンスとプロダクトイノベーション、カスタマーインテマシーからなる。
優秀な企業になるためには、どれか1つを選択する必要があるという考え方。
殆どの会社はカスタマーインテマシーを選択している。
突き抜けている会社はオペレーショナルエクセレンスやプロダクトイノベーションを選択する事が多い。
例えばユニクロ。
オペレーショナルエクセレンスを実現して、フリースやジーンズで価格破壊を起こした。
当時は所謂”ユニバレ”という言葉が生まれ、ユニクロを着ていることがバレるのは、
恥じというような状態だった。しかし、ユーザは買った。買い続けた。
そうなると、あれ?これってありなの?という事で他のメーカーも、
激安衣料品に参入してきた。続々と参入してきた。
そして、この分野では一気に競争過多になる。
突き抜ける会社が出るとレッドオーシャンになる。
これはブルーオーシャン戦略から見ても明らか。
ユニクロはここで負けなかった。とても強かった。
シンプルを着こなすという売り出し方に成功。
広告もシンプルな着こなしを意外な人がやっているというところでとても注目された。
ユニT等に代表されるように、"時代の先取り"という企業になった。
新商品開発ではインナーに目をつけ、ヒートテックを開発した。
これは各社がまた真似をした。しかし他社は所詮2番煎じ。
要するに猿真似であり、ユニクロの影はもはや拭えない。
オペレーショナルエクセレンスではなく、プロダクトイノベーションへスイッチに成功。
ここで考えると、やはり最強はプロダクトイノベーションという話になる。
要するにブランド化なのである。
カスタマーインテマシーを追求する企業をよく見かける。
しかし、これは果たして本当に追求出来ているのか。
実は日本人はすでにサービス精神というのが備わっている。
お客様は神さまです。という感覚は江戸時代から続いている。
顧客第一主義は吉宗の時代から流れている日本人の心。
石田梅岩が提唱した内容は"おもてなし"という大事な文化となっている。
ゲルマン民族はホストがゲストを迎え入れるという"ホスピタリティ"を持っている。
よく、同じ考え方をする人が居るが、ホスピタリティとサービスでは性質が違う。
サービスというのは語源はサーバントであり、召使・奴隷なのである。
これは、お客様は神様ですという考え方。お客様自身も自分が主人だと思ってしまう。
従って不条理な値下げ要求をやったり、怒鳴り散らしたりという自体が発生する。
市役所や家電量販店でよくみるのは、サービスとして考えている人が多いから。
結果的に顧客の立場が上になってしまうのである。
ホスピタリティの語源はホストであり、主人が旅人を歓迎するところから来ている。
ホスピス等の言葉についても同様であり、迎え入れるという意味合いがある。
この場合は顧客は対等、むしろホスト側の方が強い。
ディズニーランドで考えると解り易い。
実はディズニーランドというのはホストが圧倒的に強い。
強制的に退場させる権限を持っている。夢と魔法の王国に合わない人は徹底排除。
園内で弁当を食べたり、コンビニのおにぎりを頬張っていたら大変だ。
直ぐにランチエリアにつれていかれてしまうだろう。
しかし、対等な立場で楽しむ人に対しては最高のパフォーマンスをもって迎え入れる。
これはとても簡単な話で、自分の家に入ってきてくれるお客さんに対して、
ルールは守れよ、と。そうしないと他の客も楽しめなくなるだろ、と。
完全にホストの方が強い。これがホスピタリティ。
ホスピタリティとサービスについては別の機会に触れるとして、
とにかくサービスとホスピタリティは違うと認識して欲しい。
そのうえで、"おもてなし"を考えた場合、何なのか。
日本人は農耕民族であり、おもてなしの意味合いはホスピタリティの文化とは少し違う。
おもてなしは基本的にお客様を満足させようという気持ちは、ホスピタリティと変わらない。
迎え入れるという主人の立場、対等に振舞うというのも変わらないが、
ルールを守れない人に対しても、奉仕の気持ちで接する。
そして、しっかりと教育を行うのもおもてなしの特徴なのである。
ある程度、この部分に日本人は美意識を感じている。そこから外れる物はノイズでしかない。
なので、おもてなしをしてもらえると考えるところでは、それ相応の対応をする。
郷に入っては郷に従え。なのである。
おもてなしをしてもらえないと感じるところではしない。
お客様は神様です。そういう扱いをしてもらえるところでもしない。
なぜなら、そこはサービス、召使いを扱き使う考え方なのだから。
この考えが通る会社で果たしてカスタマーインテマシーが実現出来るか。
カスタマーインテマシーでは顧客とプロセスを共有する事が重要になる。
顧客と全てのプロセスを共有するには上下関係を作ってしまうところは難しい。
ディズニーランドの例では、顧客はプロセスを共有し楽しむことを目的としている。
その為に必要な事は例えゲストであっても強制排除対象とするのである。
この決断を出来る企業はなかなか存在しない。突き抜けるのは難しい。
役所では税金を納めてやってるんだ!という強い気持ち。
また、働いてる人間は公僕なんだ!というような上から目線がある。
そして、役所の人間もそれを受け入れてしまう。もしくはそんな事は無いと態度に出してしまう。
それが一層に不愉快さを増してしまい、客の神様目線を増長させてしまう。
そういうサービスを提供してしまう場合が多い。
ここでおもてなしを実施すると、また別の結果が生まれるか?
答えは、yes。ただし、これにはとても長い時間が掛かる。
なぜなら来る人間を"教育"しなければならないからだ。
この役所は普通とはちょっと違うぞ? そう思わせなければならない。
そこから、職員もちょっと違うぞ?あれ?これは、郷に入っては郷に従わなければ。
そして、自身の神様目線はノイズになっていく。
突き抜けるサービスは常に対等の立場でお客様と接している。
今、注目しているクラウドで新IDCFクラウドがある。
500円の1コインクラウドをリリースした。
なんちゃってクラウドではない。ちゃんとしたAPIもかねそろえたサービスだ。
AWSのmicro相当のサービスが500円で1ヶ月使えてしまう。
これは前述のユニクロの時と同じイメージを持てる。
そして間髪いれずに新しいサービスがリリースされていく。
取り組みも「尖っていく」というマインドの元で動いているのでブレにくい。
ここでいうブレというのは、みんなでみかんを取りにいこうと言っているのに、
きゅうりを取ってくるようなことを言う。
りんご位だったら同じ果物で許せるが、さすがに野菜は違うだろ。というイメージ。
確実に伸びる筈(大きな事故が無ければだが)なので、新サービスに期待している。
まだまだこれからなものの、国産クラウドで最も注目されるクラウドになる筈。
このように突き抜けるサービスは努力しなければならない。
500円にするのにもなみなみならぬ努力があったことを想像できる。
他社より2割安い、ないし3割安い。これはオペレーショナルエクセレンスではない。
単なる安売りであり、しっかりと考え抜いた結果ではなく、
とりあえず時代に合わせて安くしたというケースが多い。
この場合の多くは無理な価格設定をしたことにより破綻する。
もしくは、しっかりと考えた企業に圧倒的大差で抜かれていく。
1人で突き抜けるサービスを提供するのは難しくない。
ただこれは自己満足の域を脱しない。
会社として提供する場合はメンバーの協力が必要になる。
メンバーを信じて任せる。これはとても重要な要素と考えている。
現場力の無い会社では、この委譲が上手くできてないことが多い。
その為、ローンチまでに時間が掛かる。その間に時代に追い越されてしまう。
スピードは突き抜けるサービスには絶対に必要な要素。
さて、突き抜けるサービスについてまとめてみた。
まだまだver1な訳だが残念ながら私自身が突き抜けるサービスをローンチしたことが無い。
自戒も含めて書いたことをしっかりと考えながら、
突き抜けるサービスを提供出来るチームを育てていきたいと思う。
何かサービスを考えるときは、常にリコーの田村氏の講演内容を思い浮かべるようにしている。
http://www.icpe.or.jp/icpe/icpe_1/3400/
今回の内容は殆ど上記に記載されています。なにせ、私のバイブルのような講演なので。
新しいサービスを生み出すときに指標にするのが、ナンバーワン企業の法則。
オペレーショナルエクセレンスとプロダクトイノベーション、カスタマーインテマシーからなる。
優秀な企業になるためには、どれか1つを選択する必要があるという考え方。
殆どの会社はカスタマーインテマシーを選択している。
突き抜けている会社はオペレーショナルエクセレンスやプロダクトイノベーションを選択する事が多い。
例えばユニクロ。
オペレーショナルエクセレンスを実現して、フリースやジーンズで価格破壊を起こした。
当時は所謂”ユニバレ”という言葉が生まれ、ユニクロを着ていることがバレるのは、
恥じというような状態だった。しかし、ユーザは買った。買い続けた。
そうなると、あれ?これってありなの?という事で他のメーカーも、
激安衣料品に参入してきた。続々と参入してきた。
そして、この分野では一気に競争過多になる。
突き抜ける会社が出るとレッドオーシャンになる。
これはブルーオーシャン戦略から見ても明らか。
ユニクロはここで負けなかった。とても強かった。
シンプルを着こなすという売り出し方に成功。
広告もシンプルな着こなしを意外な人がやっているというところでとても注目された。
ユニT等に代表されるように、"時代の先取り"という企業になった。
新商品開発ではインナーに目をつけ、ヒートテックを開発した。
これは各社がまた真似をした。しかし他社は所詮2番煎じ。
要するに猿真似であり、ユニクロの影はもはや拭えない。
オペレーショナルエクセレンスではなく、プロダクトイノベーションへスイッチに成功。
ここで考えると、やはり最強はプロダクトイノベーションという話になる。
要するにブランド化なのである。
カスタマーインテマシーを追求する企業をよく見かける。
しかし、これは果たして本当に追求出来ているのか。
実は日本人はすでにサービス精神というのが備わっている。
お客様は神さまです。という感覚は江戸時代から続いている。
顧客第一主義は吉宗の時代から流れている日本人の心。
石田梅岩が提唱した内容は"おもてなし"という大事な文化となっている。
ゲルマン民族はホストがゲストを迎え入れるという"ホスピタリティ"を持っている。
よく、同じ考え方をする人が居るが、ホスピタリティとサービスでは性質が違う。
サービスというのは語源はサーバントであり、召使・奴隷なのである。
これは、お客様は神様ですという考え方。お客様自身も自分が主人だと思ってしまう。
従って不条理な値下げ要求をやったり、怒鳴り散らしたりという自体が発生する。
市役所や家電量販店でよくみるのは、サービスとして考えている人が多いから。
結果的に顧客の立場が上になってしまうのである。
ホスピタリティの語源はホストであり、主人が旅人を歓迎するところから来ている。
ホスピス等の言葉についても同様であり、迎え入れるという意味合いがある。
この場合は顧客は対等、むしろホスト側の方が強い。
ディズニーランドで考えると解り易い。
実はディズニーランドというのはホストが圧倒的に強い。
強制的に退場させる権限を持っている。夢と魔法の王国に合わない人は徹底排除。
園内で弁当を食べたり、コンビニのおにぎりを頬張っていたら大変だ。
直ぐにランチエリアにつれていかれてしまうだろう。
しかし、対等な立場で楽しむ人に対しては最高のパフォーマンスをもって迎え入れる。
これはとても簡単な話で、自分の家に入ってきてくれるお客さんに対して、
ルールは守れよ、と。そうしないと他の客も楽しめなくなるだろ、と。
完全にホストの方が強い。これがホスピタリティ。
ホスピタリティとサービスについては別の機会に触れるとして、
とにかくサービスとホスピタリティは違うと認識して欲しい。
そのうえで、"おもてなし"を考えた場合、何なのか。
日本人は農耕民族であり、おもてなしの意味合いはホスピタリティの文化とは少し違う。
おもてなしは基本的にお客様を満足させようという気持ちは、ホスピタリティと変わらない。
迎え入れるという主人の立場、対等に振舞うというのも変わらないが、
ルールを守れない人に対しても、奉仕の気持ちで接する。
そして、しっかりと教育を行うのもおもてなしの特徴なのである。
ある程度、この部分に日本人は美意識を感じている。そこから外れる物はノイズでしかない。
なので、おもてなしをしてもらえると考えるところでは、それ相応の対応をする。
郷に入っては郷に従え。なのである。
おもてなしをしてもらえないと感じるところではしない。
お客様は神様です。そういう扱いをしてもらえるところでもしない。
なぜなら、そこはサービス、召使いを扱き使う考え方なのだから。
この考えが通る会社で果たしてカスタマーインテマシーが実現出来るか。
カスタマーインテマシーでは顧客とプロセスを共有する事が重要になる。
顧客と全てのプロセスを共有するには上下関係を作ってしまうところは難しい。
ディズニーランドの例では、顧客はプロセスを共有し楽しむことを目的としている。
その為に必要な事は例えゲストであっても強制排除対象とするのである。
この決断を出来る企業はなかなか存在しない。突き抜けるのは難しい。
役所では税金を納めてやってるんだ!という強い気持ち。
また、働いてる人間は公僕なんだ!というような上から目線がある。
そして、役所の人間もそれを受け入れてしまう。もしくはそんな事は無いと態度に出してしまう。
それが一層に不愉快さを増してしまい、客の神様目線を増長させてしまう。
そういうサービスを提供してしまう場合が多い。
ここでおもてなしを実施すると、また別の結果が生まれるか?
答えは、yes。ただし、これにはとても長い時間が掛かる。
なぜなら来る人間を"教育"しなければならないからだ。
この役所は普通とはちょっと違うぞ? そう思わせなければならない。
そこから、職員もちょっと違うぞ?あれ?これは、郷に入っては郷に従わなければ。
そして、自身の神様目線はノイズになっていく。
突き抜けるサービスは常に対等の立場でお客様と接している。
今、注目しているクラウドで新IDCFクラウドがある。
500円の1コインクラウドをリリースした。
なんちゃってクラウドではない。ちゃんとしたAPIもかねそろえたサービスだ。
AWSのmicro相当のサービスが500円で1ヶ月使えてしまう。
これは前述のユニクロの時と同じイメージを持てる。
そして間髪いれずに新しいサービスがリリースされていく。
取り組みも「尖っていく」というマインドの元で動いているのでブレにくい。
ここでいうブレというのは、みんなでみかんを取りにいこうと言っているのに、
きゅうりを取ってくるようなことを言う。
りんご位だったら同じ果物で許せるが、さすがに野菜は違うだろ。というイメージ。
確実に伸びる筈(大きな事故が無ければだが)なので、新サービスに期待している。
まだまだこれからなものの、国産クラウドで最も注目されるクラウドになる筈。
このように突き抜けるサービスは努力しなければならない。
500円にするのにもなみなみならぬ努力があったことを想像できる。
他社より2割安い、ないし3割安い。これはオペレーショナルエクセレンスではない。
単なる安売りであり、しっかりと考え抜いた結果ではなく、
とりあえず時代に合わせて安くしたというケースが多い。
この場合の多くは無理な価格設定をしたことにより破綻する。
もしくは、しっかりと考えた企業に圧倒的大差で抜かれていく。
1人で突き抜けるサービスを提供するのは難しくない。
ただこれは自己満足の域を脱しない。
会社として提供する場合はメンバーの協力が必要になる。
メンバーを信じて任せる。これはとても重要な要素と考えている。
現場力の無い会社では、この委譲が上手くできてないことが多い。
その為、ローンチまでに時間が掛かる。その間に時代に追い越されてしまう。
スピードは突き抜けるサービスには絶対に必要な要素。
さて、突き抜けるサービスについてまとめてみた。
まだまだver1な訳だが残念ながら私自身が突き抜けるサービスをローンチしたことが無い。
自戒も含めて書いたことをしっかりと考えながら、
突き抜けるサービスを提供出来るチームを育てていきたいと思う。
2015年1月17日土曜日
2015年に思う事
あけましておめでとうございます。
それでは今年はどんな年になるでしょうか。
今年も宜しくお願い致します。
2014年は運用自動化元年というお話を書きました。
遠からず、その動きは各所で見られた1年でしたが、
未だマインドという部分で停滞しているところが多いように感じました。
今年は思想から行動に移って本格的な運用オペレータの淘汰が始まると思います。
それでは今年はどんな年になるでしょうか。
2015年はコンテナ運用元年になると考えています。
コンテナというと、私はOpenVZやVirtuozzoのイメージが強く、
VPSのような感じであまり良いイメージがありません。
また、ハイパーバイザー型のようにサーバをまるっと仮想化した方が、
私のようなインフラエンジニアはやり易いように思えて、どうしてもコンテナ型は敬遠します。
コンテナ型はカーネル共有型になる為、どうしても向き不向きが出ます。
PostgreSQLやOracleのようなデータベースには向いていません。
またTCP周りのチューニングも難しくなり、アクセス数が膨大なサイトは最適化が難しくなります。
これは私が2014年まで普通に考えていたことです。
多くのインフラエンジニアはそう考えていたと思います。
クラウドが当たり前の時代となりました。
2012年のAWSサミットはホテル日航東京で2部屋で行っていました。
コイニーさんとかがStartupコンテストで登壇していたのを鮮明に覚えています。
丁度、ビッグデータというバズワードが出始めた頃です。
その頃のセッションではビッグデータをいかにストアするかという内容でした。
redshiftも出始めでどう使うのか。DWHを再考するようなイメージだったと思います。
去年は奇しくもマイクロソフトと同じ高輪プリンス。
ビッグデータのキーワードは勿論流行りのキーワードですが、大きく内容が違っていました。
いかにストアするかから、いかに分析するかという内容に変わってました。
リアルタイムに分析して提供するか。adtechが牽引している技術です。
それに伴ってAWSからはKinesisがリリースされました。
この間、たった2年です。
たった2年でビッグデータのストアをいかにするかという話をしていたのが、
リアルタイムでストリーミング解析をする為にどうすればいいかという次元になりました。
話を戻しましょう。
クラウドの「捨てる」というインフラ運用方針もやっと頭の固い人達がついてきました。
ミドルウェアを捨てるという考え方でいくと、ハイパーバイザー型よりかは、
コンテナ型の方がやり易いという話になります。
カーネルに依存するようなミドルはRDS等でPaaSとして利用します。
こうなるとハイパーバイザーでなければならない理由もなくなってきます。
こうなるとハイパーバイザーでなければならない理由もなくなってきます。
ハイパーバイザーかどうかは使用者側はパブリッククラウド上ではあまり関係ないため、
コストが安くなり、更にlaunchの時間が短くなる。更に柔軟な設計が可能になり、
複数のサーバをスタックして考えるようになる。
要するにCoreOSに代表されるコンテナ管理を前提とした考え方が浸透する。
そんな1年になるんじゃないかなと思っています。
CoreOSはDockerから卒業を果たし、Rocketを打って出ました。
AWSもコンテナ型のサポートサービスを発表しました。
今年は加速するのに十分な要素が揃ってます。
コンテナのミドルウェア分散設計の方法をしっかりと抑えたいと考えています。
今年もよろしくお願いします。
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